From:守部 和孝
八月八日に天皇陛下から「お気持ち」が表明されました。
僕が普段文章でセールスをおこなっている
セールスコピーライターの立場からの
印象を書きたいと思います。
僕達コピーライターの特性は
短い文でわかりやすく、無駄のない言葉にすることが
大切だと考えています。
日本語はどうしても冗長になりやすく
意味のない言葉を並べることができます。
英語では「NO」で済む場面でも
日本語では
「お気持ちは嬉しく、お心遣いに反するのは心苦しいのですが
その日はどうしても、やむを得ない事情がありまして、
参加するには難しそうです。
また機会がありましたらお誘い頂けるとうれしいです。」
というようにいくらでも長く話すことができてしまいます。
もちろん英語でもできますが、日本語の場合は顕著です。
セールスコピーではこれはよくありません
なぜなら、読むのがめんどくなります。
要点がぼやけてしまい、内容がわかりずらくもなってしまいます。
わかりやすく、誰もが理解できるようにするには
短く、要らないものは省き、要点や、的を得た
文章が鍵となります。
ここでもう一度先ほどの文章を見てみましょう。
「お気持ちは嬉しく、お心遣いに反するのは心苦しいのですが
その日はどうしても、やむを得ない事情がありまして、
参加するには難しそうです。
また機会がありましたらお誘い頂けるとうれしいです。」
無駄な言葉が多いと見ることもできますが
日本語のいい面の特徴もでてます。
あいまいな表現で気持ち、心情を細やかに自然と表現できることです。
また相手の立場を気遣うことも見えています。
天皇陛下の「お気持ち」には
その日本語の素晴らしさによって
構成されていました。
僕には全く書くことのできない文章です。
日本語の美しさを感じることができます。
欧米のメディアでは内容を全て伝えることは
しないので、要約して
「退位をお考えを表明」
と書いている新聞もあったそうですね。
そういうことを言わずに、
お互いの立場を尊重し伝えることを旨として
話していることがわかります。
また英語では
ifやfor exampleなどをつかい
例えばと話していくところを
天皇陛下の「お気持ち」では
一度として「例えば」
という言葉が使われていません。
「例えば」という言葉は
非常にわかりやすいのですが
ちょっと野暮ったくなります。
そういった気遣いがあります。
接続しでも変わった接続しが使われています。
「こうした意味において」というのが
おもしろいですね。
普通なら「ということは」といったところでしょうか。
品位がある言葉です。
また品位は下がらないのですが
印象が悪い接続詞に
「しかし」があります。
「しかし」というのはとても便利で、
相手の反論にも使いますし、
自分の予想に反したときも使って
話の振り幅を感じさせる時にも
使います。
ただやはりネガティブなイメージがあるので
使い過ぎはよくありません。
僕はなるべく
「更に」という言葉に置き換えられるときは
変えたり
「ただ」という言葉にしたりと
特に話し言葉の時には注意しています。
今回の天皇陛下の「お気持ち」には
一度だけしか使われていませんでした。
あれだけの長いお言葉に
一度だけというのはまれだと思います。
というように日本語の素晴らしさを再認識させられた
お言葉でした。
きっとあなたの天皇陛下のお言葉に
色々と感じるところがあったと思います。
僕が1番感じた部分のシェアでした。
もしお会いした時あなたの感想も教えていただければと思います。